2019年8月20日火曜日

天之御中主神・高御產巢日神・神產巢日神 〔365〕

天之御中主神・高御產巢日神・神產巢日神


古事記本文の冒頭の記述…、



天地初發之時、於高天原成神名、天之御中主神訓高下天、云阿麻。下效此、次高御產巢日神、次神產巢日神。此三柱神者、並獨神成坐而、隱身也。

…に登場する三柱神である。「独神・隠身」と記されて、すっかり追い求めるのは失礼なほど高貴な神々として来たが、後者の二人は物語に登場してご活躍なさるわけだから、居場所を詮索しても許されるのではなかろうか?…と勝手に解釈して、実行してみた。

一部読み解いた気分に陥っていたが、見直しも含めて再掲する。

①天之御中主神

御(御する)|中(内)|主(中心)

…「天の中(内)を御し中心」に坐す神と読める。


<天之御中主神>
従来より解釈されてきたところと異なることはなく、三柱神の中でも最も高位な位置付けであろう。この神が登場するのはこの記述のみである。

しかしながら使われている文字をよく見れば、地形象形する場合に頻出する文字であることが判る。

解釈は「主」を何と読み解くか、であろう。「主」=「灯をともす皿の中の灯心」を象ったものと言われる。

それから「じっと立って動かない」様を表す文字として使われていると解説される。古文字を図中に示したが、これを「火を噴く山」の象形として用いたのではなかろうか。

古事記の登場する「柱」=「木+主」は「火山」を示すと紐解ける。ここでの「主」は「柱」を略した文字として使用されていると解釈すると…、
 
天之(阿麻の)|御(束ねる)|中(中にある)|主(火の山)|神

…「阿麻の中にある火の山を束ねる神」と紐解ける。天安河の上流部にある谷間、現地名勝本町本宮東触辺りと推定される。「神通の辻」を中心とする火山群、それが「天(阿麻)」の中心であることを伝えている。

「御中主」は、後に伊都之尾羽張神の「伊都」として記述される。「伊都」=「燚(イツ)」と紐解いた。正に「火」が束になった地形を示している。ご本人は登場しないがその存在感は十分に伺えるのである。

②高御產巢日神

上記と異なり、文字通りに読み下してもスッキリとは受け取れない文字列である。通説でも読み下した例は少なく、「本来は高木が神格化されたものを指したと考えられている。「産霊(むすひ)」は生産・生成を意味する言葉で、神皇産霊神とともに「創造」を神格化した神である」と言う説ぐらいであろう。

次の伊邪那岐・伊邪那美のように「神產巢日神」と対をなして「産む」神としての解釈であろう。伊邪那岐・伊邪那美と違って性別不明なことが引っ掛かるようでもあり、曖昧な状態である。
 
高(高所から)|御(御する)|產(生み出す)|巣(住処)|日(日々)|神

<高御產巢日神・神產巢日神>
…「人々が寄り集まり住まう住処を生み出すために高所から(高い位置から)統御するのが日常の神」と読める。

とは言うものの些かスッキリとはしないのは通説同様である。

と言うことで、「創造」の神のイメージを示しながら、やはり地形象形的表記と思われる。

ならば一文字一文字を紐解いてみよう。

「高」は、高天原と同じく「広げた布に皺が寄ってできる筋目がある地形」と解釈する。

「御」=「束ねる」地形に用いた場合には「御する」よりも適切と思われる。「產(産)」=「生え出る」、「巢(巣)」=「寄り集る」、頻出の「日」=「[炎]の地形」と解釈する。

すると「高御產巢日神」は…、
 
高(皺の筋目がある地)|御(束ねる)|產(生え出る)
巣(寄り集まる)|日([炎]の地形)

…「皺の筋目がある地が生え出て寄り集まる[炎]の地形を束ねるところ」に坐す神と紐解ける。図に示したように山腹に皺の筋が見える地に囲まれた地形を表していると思われる。この神は、後に高木神と別名を持っていたと告げられる。簡単な表記であり、坐していたのは最も南側の山稜(麓)と推定した。

③神產巢日神

神([雷]の形)|產(生え出る)|巣(寄り集まる)|日([炎]の地形)

…「[雷:稲妻]の山稜から生え出て寄り集まった[炎]の地形」に坐す神と紐解ける。この神の名前に二つの「神」の文字がある。間違いなく前者は「雷」であろう。上図に示した通り「稲妻」山稜が見出せ、高御產巢日神と全く同様の[炎]の地形が谷間を形成していることが分かる。

また「雷=雨+田」に分解できるとすれば、恵みの雨を誘起するという穀物を育てるには不可欠な存在、それを活用していた神であることを伝えていると推察される。

後述される須佐之男命の段に「天」を追い払われ、出雲に降臨する際、大氣津比賣神から食物を調達しようとする。その比賣神の身体から種々の食物が生えてくるのをせっせと巢日神が取り集めて種にするという記述がある。

また大国主命の段に常世国から神產巢日神之御子・少名毘古那神が登場する。大国主命に稲作技術を伝えに来たと紐解いた。その役割は、巢日神の名前に刻まれていたのである