大八嶋国:淡道之穗之狹別嶋
何と言っても大八嶋国の最初の島の名前である。漢字の示す意味からその在処は、ほぼ確実に比定されるのであるが、よくよく見てみると漢字一文字一文字の紐解きは未達であった。あらためて文字の示すところを読み解いてみよう。
古事記原文…、
如此言竟而御合生子、淡道之穗之狹別嶋。訓別、云和氣。下效此。次生伊豫之二名嶋、此嶋者、身一而有面四、毎面有名、故、伊豫國謂愛上比賣此三字以音、下效此也、讚岐國謂飯依比古、粟國謂大宜都比賣此四字以音、土左國謂建依別。次生隱伎之三子嶋、亦名天之忍許呂別。許呂二字以音。
[かように言い終って結婚をなさって御子の淡路のホノサワケの島をお生みになりました。次に伊豫の二名の島(四國)をお生みになりました。この島は身一つに顏が四つあります。その顏ごとに名があります。伊豫の國をエ姫といい、讚岐の國をイヒヨリ彦といい、阿波の國をオホケツ姫といい、土佐の國をタケヨリワケといいます。次に隱岐の三子の島をお生みなさいました。この島はまたの名をアメノオシコロワケといいます]
る第一回目の巡回と名付けたところを抜き出してみた。淡道之穗之狹別嶋→伊豫之二名嶋→隱伎之三子嶋と、先ずは軽く響灘を回るルートである。
<淡道之穗之狹別嶋> |
島の所在地は求められたが、この長い名称は何と解釈できるであろうか?…安萬侶コードと名付けたコードで紐解けるか、試みてみよう。
「淡」=「氵+炎」=「水が[炎]のように飛び散る様」、「道」=「辶+首」=「[首]のように凹んだ地」と分解できる。
「穂」=「[穂]のように山稜が細かく分れる様」とする。これらを用いて、一気に・・・。
「淡道之穗之狹別嶋」は…、
水が[炎]のように飛び散る[首]のように凹んだ地で
[穂]のような山稜が狭く別れた島
「道」は通常の意味である道を示すのではなく、「首」を意味する。現地名の彦島田の首町は残存地名と思われる。既に「道」=「辶+首」の解釈の有効性はかなりの場面で確認された。前記の「山邉道」もその内の一例である。即ち「淡路」の表記とは全く無縁の表記であることが確認されたと思われる。
「穂」は、仁徳天皇紀の那爾波能佐岐に含まれる「爾」の解釈に通じる。「淡」は決して「淡い水」を示しているのではない。「淡海」=「水の飛び散る海」のことである。後代になってこの「首」を臨む地に淡道之御井宮が建てられる。現在の下関市彦島向井町も、間違いなく残存地名と思われる。
どうやら長たらしい名前の由縁が解ったようである・・・。